女性経営者が心折れた理由

気落ちし手を額にやる女性経営者

私の知り合いの女性経営者が、新しい事業を起こすことを考えて一生懸命に事業プランをつくったのですが、
ある専門家の意見に心が折れるダメージを受けてしまいました。

彼女はなぜ、心が折れるダメージを受けてしまったのでしょうか。

そこには、よくある誤解がもたらす、ボタンの掛け違いがあったのです。

里山体験による心の癒し

知り合いの女性経営者はとても頑張り屋さんです。
頑張りすぎなので、あるときは、
疲れから自家用車を運転中に事故を起こさないかと、ヒヤヒヤしたときもありました。

そんな彼女が偶然、のどかな里山、あふれる自然の中で心を癒される経験をすることになりました。

彼女にとっては、自然だけでなく、素朴で心優しい人たちの触れ合いが、本当に感動的だったそうです。
そして、こんな感動を自分一人だけのものにするなんて、もったいないと思ったのです。

心が疲れている人は、自分以外にもたくさん居る。
そんな人たちが、この里山で、あふれる自然の中でたった一日でも過ごせば、どんなに心が癒され、元気を取り戻せることだろう。

そんな里山の価値に気付いた彼女は、里山体験を事業化することを考えました。

多忙な人たちに、気軽に心を癒す機会を提供したいという気持ちがありますので、
できるだけ価格も抑えてと考えました。

専門家の辛らつな意見

心を込めて、一生懸命につくった事業プラン。

もっとも、自分がした感動的な体験じたいは、とても素晴らしいものであるにしても、
心への影響度合いの占めるウェートが大きい事業です。

はたして商業ニーズは、どれほどのものか。
単身者、夫婦二人、子供連れ等々の形態によっても、里山体験の受け止め方は異なってくることでしょう。

彼女は彼女なりにリサーチしたのですが、
ある程度に事業プランがまとまったところで、知り合いの専門家に意見を求めました。

ところが、意見を求められた専門家のうち、ある税理士から
自然とか心の癒しとか、フワフワした言葉ばかりで、何を伝えたいのか。
しかも安価設計となっており、これで事業として成り立つのか? 云々
と辛らつなことが矢継ぎ早に発されました。

長年、事業家としてやってきた彼女にとっては、
久しぶりに手厳しい言葉を浴びせられ、随分と心が折れてしまいました。

意見の求め方を誤った

彼女の名誉のためにも言いますが
彼女の事業プランは、完成にまで至っていないものの、決しておかしなものではありません。

ただ、彼女は意見の求め方を間違ってしまったのです。

彼女が本当に聞きたかったことは、
単身者、夫婦二人、子供連れ等々の立場で、里山体験に何を求めるか。
里山体験によって得られる未来、言い換えると、体験を機にどんな風になりたいか。変わりたいか。

そうしたことを専門家の人たちに、自分が利用する立場になって意見してほしかったのです。

これらは、顧客へどんな価値を提供するか、に関わるものです。
しかし、顧客へ提供する価値や、それに対するニーズは見込客にリサーチしなければ分かりません。

いくら税理士はじめ専門家の面々に、自分が利用する立場になって意見してほしいと言っても、
そもそも利用する気の無い人には、意見を申し述べようがありません。

それにもかかわらず、なぜ彼女は意見を求めたのか。

それは彼女が、税理士はじめ各専門家はみんな経営が分かっているから、顧客に関するアドバイスもできるはずと誤解していたからです。
経営が分かるから、顧客の立場に身を置いて考えれば
顧客ニーズや顧客提供価値、もっと広く言うとマーケティングについてアドバイスができるはずと思い込んでいたのです。

確かに税理士はじめ各専門家は、税務や会計ほか各分野の専門家ですが、世間では、会計など各分野の専門家=経営の専門家と誤解しがちです。

もちろん、会計はじめ各分野は経営の重要な構成要素です。しかし、それは経営の一部分でしかないのです。
経営とは、会計や人事や生産や営業など、企業活動全体のマネジメントをいうのです。
従って、税理士はじめ各専門家がみんな、経営をアドバイスできるとは限らないのです。

これは税理士に限りませんが、
本当に経営をアドバイスできる訓練を受けた専門家は、むしろ少ないと言うべきでしょう。

そしてもう一つ。
仮に経営のアドバイスができるとしても、先ほども述べたように、顧客のことは顧客にしか分からないのです。
専門家にできることは「どうやって調べれば良いか。提供したい価値をどうやって伝えれば良いか」という方法論を教示することなのです。

彼女に意見を述べた税理士も正にそうであり、
真に求められた意見を言うことができず、しかし何も言えないことも気が引け、つい自身が得意な分野で意見を述べてしまったわけです。

ここに、彼女と税理士の間にボタンの掛け違いがあったわけです。

誤解しないでほしいのですが、税理士が言った、特に事業採算性は非常に重要です。
ただ、本件について言えば、
顧客提供価値やニーズをリサーチしている段階で、事業採算性を言っても仕方ないのです。
採算性の前提がまだ固まっていないのですから。

彼女にはこうしたことを伝え、リサーチについてアドバイスをしました。
気を取り直して、再びプランを練ってくれることを期待しています。

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