社長の妻こそ承継リスクへ備えを!

夫から事業承継する妻

皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。

社長業を幸福に引退する一方で、新たな生甲斐を見い出して、第二の人生を充実させることで生涯現役を全うしたい社長は、
知的資産経営を導入して、財務体質の改善も図りながら、事業承継など社長業引退への備えを早い段階から進めるべきです。

ところで、事業承継といえば当然、経営者である社長が渦中の人であり、誰よりも悩むべき存在であると言えます。
しかし、事業承継をリスクとして考えるとき、
実は社長よりも社長の配偶者(多くは妻でしょうから、以下では妻とさせて頂きます)の方が、リスク顕在化により被るマイナスは大きいと言えます。

これに関し最近実施された、ある調査結果をご紹介します。
お時間を作って、ぜひお読みください。

社長の妻のリスク

中小企業の社長の平均年齢が年々高まる一方で、後継者が決まっていないケースが非常に多く、事業承継が大きな問題になっているということはご承知のとおりです。

後継者が定まっていない理由は、色々あるでしょうが、
いずれにしろ社長は有効な手を打てていなくとも、後継者が決まっていないことを知っているわけです。

つまり、社長にとって不意打ちとなる状況ではありません。

これに対し、事業承継問題を抱えている社長である夫が、急な病に倒れ、
特に万が一にも死亡するようなことが起これば、社長の妻は突然に事業承継問題の渦中に巻き込まれてしまいます。

会社を一体どうするのか。従業員の雇用は? 借金は?

また、相続に伴い発生する税金はどうするのか。
特に相続する会社の株式の評価額が高いと、多額の相続税が圧し掛かってきます。

計画も無い、突然の事業承継がトラブルの火種になることは目に見えています。

不意打ち以外の何物でもない事業承継リスクの顕在化は、
社長の妻にとって不意打ちだけに、熟考する余裕も然るべき対策をとる時間もなく、そのことにより被ってしまうマイナスはとても大きいと言えます。

エヌエヌ生命保険の調査結果

それでは社長の妻は、特に会社経営を巡る事業承継リスクを、どのように考えどう受け止めているのでしょうか。

12月7日の日本経済新聞でも取り上げられましたが、
10月にエヌエヌ生命保険が、インターネットで全国の中小企業経営者の配偶者500人に、事業承継に関する意識調査を行っています。

同社が発表した調査結果の概略をご紹介すると、次のとおりです。
なお、分かりやすくするため、一部の表現を変えておりますが、ご容赦ください。

  • 夫が経営する会社に所属・関与している妻は63.2%
  • 夫が事故や病気などで経営の継続が難しくなった場合、会社の経営について心配することは
    「事業の継続・売却・廃業の判断」45.0%
    「売上の減少」35.4%
    「経営に関する知識・経験の不足」32.4%
  • 夫が事故や病気などで経営の継続が難しくなった場合のことについて
    「話し合ったことがある」29.6%
    「話し合ったことはないが、機会があれば話し合いたい」45.6%
    「現時点で話し合う必要性を感じない」24.8%
  • 夫と話し合った妻について、話し合った内容は
    「代行する経営者の選定」52.0%
    「資金繰りや経営状況」50.0%
    「今後の事業展開予定」33.1%
  • 夫が事故や病気などで経営の継続が難しくなった場合、事業経営を担う人が決まっている妻は18.4%
  • 夫が事故や病気などで経営の継続が難しくなった場合、事業継続の他、廃業や事業の売却という選択をした場合でも、一旦は代わりの法人代表者を決める必要があるが、その場合に想定される法人代表者は
    「妻自身」40.0%
    「役員・従業員(親族以外)」20.6%
    「子供」15.2%
  • 連帯保証人となっていた夫の遺産相続をすると、連帯債務も相続することについて
    「知っている」76.2%
  • 夫が会社の借入金の連帯保証人であるかについて
    「連帯保証人になっている」28.4%
    「わからない」27.8%

問題意識はありながら、うまく対応できていない

上記の調査からは、
6割超に及ぶ妻が、夫の経営する会社に所属・関与していることもあって、

  • 夫が事故や病気で倒れた場合、妻の半数近くが、会社を一体どうするかという問題が直ちに発生することを認識している
  • しかも一時的なリリーフ経営者として、自らが矢面に立つことも覚悟している

と言えます。
それゆえ、夫と対応を話し合った、あるいは話し合いたいと考える妻は8割近くに及んでいます。

ところが、夫である社長の事故や病気の際の体制について、約半数の妻が、夫と話し合いたいと思いつつ話し合えていない、というのが現状です。

それでも、6割は会社に所属・関与しているわけですから、妻が自ら会社の舵取りができるなら、何とか乗り切ることも可能でしょう。
しかし3分の1が経営に関する知識・経験の不足を挙げており、現実は厳しいと言えます。

やはり、社長の妻は自らのリスクを解消するため、夫である社長へあらかじめ働き掛けていくことが必要でしょう。

ただ、それが進まない現実は、一つは夫の姿勢に問題があるのかもしれません。
それを妻一人の力で解決しようとして、家庭内不和に至っては、これまた大問題です。

そこで、その壁を破るため第三者である専門家を担ぎ出し、妻の言い分を、専門家を介して夫へ伝えることも考えてみては如何か、と思う次第です。

一人でも多くの社長の妻が、リスク解消に向けて具体的な一歩を踏み出されることを祈っています。

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