日本でいちばん大切にしたい会社 ~涙が止まりません~

知的資産のイメージ

皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。

社長業を幸福に引退する一方で、新たな生甲斐を見い出して、第二の人生を充実させることで生涯現役を全うしたい社長は、財務を改善し知的資産経営を導入して、事業承継など社長業引退への備えを早い段階から進めるべきです。

ここにいう知的資産とは、各社が必ず持っている知恵や工夫を指しますが、その中でもっとも重要なものが「経営理念」です。

私の手元に、経営理念の大切さを伝えてくれる1冊の本があります。
そこには心から感動する実話が所収されており、私はこの本を手にするたびに、目から涙があふれ出て、止まりません。

ご存じでない方にはぜひ手にとって頂きたいので、ご紹介します。
お時間を作って、ぜひお読みください。

日本でいちばん大切にしたい会社

ご紹介したい本は、坂本光司先生の著作「日本でいちばん大切にしたい会社」(あさ出版)です。
同書は2008年に出版されました。その後シリーズ化していますので、ご存じの方も多いかもしれません。

坂本先生は、中小企業経営論や地域経済論をご専門とされる経営学者ですが、
会社経営とは「五人に対する使命と責任を果たすための活動」と位置付けておられます。

五人とは
1 社員とその家族
2 外注先・下請企業の社員とその家族
3 顧客
4 地域社会ないし地域住民
5 株主ないし出資者
を指しています。

1~5は、会社が使命と責任を果たすべき順序を意味しています。

驚くことに、社員や外注先・下請企業の社員とその家族が顧客の上位に位置付けられているのです。
顧客第一とよく言いますが、坂本先生はそれを間違いだ、と言い切ります。

顧客は自ら創造するものである。その担い手は社員や協力企業。
彼らが不平不満で一杯では、感動とサービスを期待する顧客に応えることなどできない。
社員満足度を高め、外注企業の満足度を高めれば、必然的に顧客満足度も高めることができる。

だから、社員や外注先・下請企業の社員とその家族が上位。顧客は3番目です。

この価値観を背景に、本当に素晴らしい会社を個々に取り上げ、紹介しているのが「日本でいちばん大切にしたい会社」なのです。

紹介されている会社は、単にきれいごとを並べているような会社ではありません。
人を大切にする経営を必死に営んでいます。
そこに感動が生まれ、顧客から必要とされ、しっかりと生き残る会社になっています。

日本理化学工業株式会社

そんな会社群の中から、最初に紹介されているのが日本理化学工業株式会社(神奈川県川崎市)です。
子供の頃、学校でおなじみの、あのチョークをつくる会社です。

障がい者雇用を始めて60年にも及ぶ、日本の障がい者雇用のパイオニア的存在です。
今や、全社員86名のうち63名が知的障がい者です(2020年2月現在)。

「日本でいちばん大切にしたい会社」によれば、そもそものはじまりは、近くにある養護学校の先生の訪問だったとか。
先代社長の故 大山泰弘さんは、知的障害をもつ二人の少女の採用を一旦は断りました。
しかし、養護学校の先生に心を打たれ、就業体験を受け入れます。

そして、少女たちの働きぶりを見て、今度は社員が心を打たれます。
「私たちみんなでカバーします」という社員たちのたっての願いで、ついに少女たちを採用するのです。

もちろん、当初は苦労の連続。
しかし彼女たちが、「何ができて、何ができないか」を理解することに努め、
「人を工程に合わせるのではなく、工程を人に合わせる」という創意工夫を重ねていき、ついに今日に至っています。

ここで実話を語り尽くすことは、とてもできませんが、
私が感心するのは、先ず「何ができて、何ができないか」を理解するよう努めたということ。
口で言うのはたやすいですが、決して簡単にできることではないと思います。
本当にすごい!

「人を工程に合わせるのではなく、工程を人に合わせる」というところも、
健常者によって運営される生産工程の合理化、生産性向上においても有益な、ハッと気づかされるポイントです。
これも真剣に人と向きあっているからこそ、できることなのでしょう。

社員の満足度に着目する動き

コロナ禍に見舞われ、先行きが見通しにくい時代になりました。

しかし一過性の対処はあっても、本質的に経済活動を止めるわけにはいきません。
なぜなら経済とは、私たちの暮らしそのものだから。

そんな中、環境変化が激しい状況を乗り越える会社を見極める評価基準として注目されているのが、非財務情報です。

安定した経済の下では、業績という財務情報が大きな評価基準でした。
しかし業績が大きくブレ、それだけで生き残る会社、生き残れる会社を見極めることが困難になってしまいました。
そうした中で特に、経営者と社員が同じ方向を向いていること、その結果、社員満足度が高いことが注目されるようになっています。

それでは、社員満足度はどうすれば高くなるのでしょう。

ここで重きをなすのが「経営理念」です。
特に「人」を根底に据えた、経営者の考えです。
経営理念が社員に浸透しているほど、組織に結束が生まれ、経営環境が悪いときでも、いやむしろ悪いときこそ、困難な状況を乗り切る力の源になってくれます。

コロナ禍を乗り切れば、また安定した日々が戻ってくることでしょう。
しかし忘れてはなりません。
人類の歴史において、コロナ禍は初めての想定外ではないのです。

何年かすれば、新たな想定外がまた襲ってきます。
それをも乗り切れるように、今から経営理念を見直し、組織づくりを今一度考えて頂きたいと願っています。

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