皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。
中小企業が生き残りを図り、社長の幸福な引退に向けたストーリーをつくる上で差別化が重要ですが、そのために忘れてはならないポイントがあります。
本稿では、仕組みづくりの重要性を説明しています。ぜひお読みください。
中小企業が苦手とするもの
折角つくった差別化がどこまでライバルに通用する強みと言えるのか。それもできるだけ長い期間にわたって通用する強みと言えるか。そうした視点から自社の強みを分析するツールに、VRIO分析があります。
Vは、差別化ポイント=強みが顧客にとって価値あるものか、を示しています。
Rは、世の中を見渡したときに希少(ものめずらしい)といえるか、を示しています。
Iは、差別化ポイントをライバルが模倣(マネ)しにくいか、を示しています。
Oは、十分に差別化の武器として使いこなせるだけの組織としての体制が整っているかを示しています。
このうち、Iの模倣困難性は特に重要とされています。せっかくお客から良いと評価されても、ライバルがすぐにマネしてしまえば、それを武器に戦えなくなりますから。
そこで製品やサービスを模倣困難なものにするために、そのバックボーンとして、しっかりした技術や技能を形成することに注力することになります。
そういうこともあって、自社の強みを問われれば、技術や技能と回答することが圧倒的に多くなります。
しかし、特に中小企業の場合、差別化づくりがここで終わってしまいがちです。
それって、何か足りませんか? そうです!
VRIO分析はO、つまり十分に差別化の武器として使いこなせるだけの組織としての体制が整っているか、まで求めているのです。
技術や技能は、お客が求めているモノを実現する手段にすぎません。
だから、技術や技能が優れているだけではダメなのです。手段である技術や技能を使いこなし、お客が求めているモノを実現して初めて顧客にとって価値があることになります。
だから、技術や技能を使いこなす力が組織として要求されるのです。
ところが実は、これが中小企業は一番苦手です。
大企業なら、人材をはじめ経営資源が豊富なので、個々の経営資源の品質の高さ(たとえばスタッフの優秀さ)でカバーすることで、技術や技能を使いこなすこともできるでしょう。
しかし経営資源、特に人材が質量ともに不足しがちな中小企業は、そういうわけにはいきません。だから、地道にしっかり手を打たなければなりません。
ここまで言うと、中小企業は人が集まらないから仕方がない。お金がないから仕方がないという諦めの声が出てくるのでしょうね。
いいえ、違います!
中小企業にないのは、人よりも、お金よりも組織体制、もっと簡単に言えば「仕組み」なのです。
そして「仕組み」がないのは、それが必要という気付きや発想がないからです。
ずいぶん昔、牛丼の〇〇家が倒産しました。最近では、〇〇ステーキ!が業績不調ですね。理由はいろいろありますが、私に言わせれば根本原因は同じです。
組織力を整えないまま、組織力を超過する成長を求めた(つまり組織に過剰な負担を求めた)ために、その会社の持ち味を生かすことができなくなり、顧客に振り向かれなくなっただけなのです。
倒産や業績不調は極端かもしれませんが、しかし中小企業のままで終わるか、それとも中堅企業、さらには大企業へと飛躍するか。
それは組織体制、つまり仕組みを整えるか否か。間違いなく、これがターニングポイントです。
そのため私は実は、組織力、言い換えると仕組みづくりが差別化の最大ポイントと考えているのです。
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