皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。
社長業を幸福に引退する一方で、新たな生甲斐を見い出して生涯現役を貫きたい社長は、財務を改善し知的資産経営を導入して、事業承継など社長業引退への備えを早い段階から進めるべきです。
ここにいう知的資産経営とは、各社が必ず持っている知恵や工夫を、顕在化させて資産と呼べるほどに整え、あるいは磨きをかけて、その活用により収益力を強化していく経営ですが、決して中小企業と無縁なものではありません。
本稿では、知的資産経営に不可欠な知的資産の磨き上げ=業務改善に多くの中小企業が既に取り組んでいることを取り上げます。ぜひお読みください。
8割以上の企業が業務改善に取り組んでいる
コロナ禍で総じて人手が余る状況になってしまいましたが、コロナ禍はあくまで一時的なものです。
少子高齢化の我が国はいずれ人手不足で、また悩まされます。業務改善で効率化を進めることは不可欠です。
そして業務の効率化で生じた余力を投じることで、事業の拡大が可能になります。
ところで2018年版中小企業白書が、中小企業における業務改善の実態を取りまとめています。
先ず、業務改善の実施状況を取組単位別に見ると次の通りです。8割以上の中小企業が業務改善の取り組みを行っています。
- 全社単位で実施:20.7%
- 部門単位で実施:26.7%
- 小集団単位で実施:14.0%
- 個々の従業員レベルで実施:24.9%
- 特段行っていない:13.8%
もっとも、従業員規模が大きくなるほど、全社単位で業務改善を行う企業の割合が高くなり、従業員規模が小さくなるほど、個々の従業員レベルで業務改善を行う企業の割合が高くなります。
業務改善を行っていない企業も、従業員規模が小さくなるほど割合が高くなっています。
従業員規模が20人超30人以下
- 全社単位で実施:17.4%
- 部門単位で実施:19.1%
- 小集団単位で実施:7.7%
- 個々の従業員レベルで実施:35.3%
- 特段行っていない:20.5%
従業員規模が50人超100人以下
- 全社単位で実施:19.4%
- 部門単位で実施:26.8%
- 小集団単位で実施:14.5%
- 個々の従業員レベルで実施:24.6%
- 特段行っていない:14.7%
従業員規模が300人超
- 全社単位で実施:28.7%
- 部門単位で実施:28.7%
- 小集団単位で実施:23.1%
- 個々の従業員レベルで実施:14.4%
- 特段行っていない:5.1%
業務改善の具体的手法
業務改善の具体的な取り組みとして、最も多く挙がったのは業務の標準化・マニュアル化でした。
次いで不要業務・重複業務見直し・業務簡素化、業務の見える化の順となっています(重複回答のため100%にはならない)。
- 業務の標準化・マニュアル化:40.2%
- 不要業務・重複業務見直し・業務簡素化:40.0%
- 業務の見える化:30.6%
- 業務細分化・業務分担見直し:20.1%
- 行っていない:18.5%
ちなみに、中小企業白書は具体的な取り組みそれぞれの効用について、次のようにコメントしています。
- 社内で属人化している業務等についてマニュアル化を行うことで、誰でも手法を学び、その業務に対応できる人材を増やすことにつながるものと考えられる。
- 不要業務や重複業務の見直し及び業務の簡素化を行うことで、従業員に余剰時間が生まれ、業務負担の軽減に寄与するものと推察される。
- 業務の見える化により、今まで継続してきてはいたものの実は形骸化していたような不要業務の発見等につながっているものと考えられる。
業務改善に見る経営者の意識の差
以上から、どんなことが見えてくるでしょうか。
先ず、8割以上の企業が業務改善に取り組んでいました。
各社は事業運営上の知恵や工夫を必ず持っています。それを顕在化=見える化し、あるいは磨きをかけて活用していくことが知的資産経営です。多くの企業で既に、相応に手掛けているのです。
冒頭にも述べましたが、知的資産経営は決して中小企業と無縁なもの、難しいものではないのです。
ただし、従業員規模が大きくなるほど、全社単位で業務改善を行う企業の割合が高くなり、従業員規模が小さくなるほど、個々の従業員レベルで業務改善を行う企業の割合が高くなることには注意が必要です。
曲がりなりにも小集団単位までは、組織として取り組んでいると言ってよいでしょう。
しかし個々の従業員レベルで行う業務改善は、最早、組織として取り組んでいるとは言えません。従業員任せに過ぎません。
これは経営者の意識の差、経営努力の差に由来するものでしょう。
そして、その差が素直に、企業規模の差となって現れているのではないでしょうか。
業務改善といっても、いろいろな手法が存在しています。
将来、社長業を幸福に引退したい社長は、業務改善を決して従業員任せにせず、会社として自社の課題に即した手法を選択し取り組んでいくことが求められるのです。
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