皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。
生涯現役を貫いた末に幸福な引退がしたい社長は、財務を改善し、知的資産経営を導入して、事業承継など引退への備えを早い段階から進めるべきです。
ただし、ここでいう財務の改善とは、決して経費削減やリストラ一辺倒というようなものではありません。
営業(新規顧客開拓)とセットで考えねばなりません。
もっとも、新規顧客開拓の際には注意すべきことがあります。
本稿では、新規顧客開拓のヒントとその際に注意すべきことをご説明しています。ぜひお読みください。
私の家政夫ナギサさん
日本経済新聞に「ヒットのクスリ」という記事があります。
最近、先日終了した大ヒットドラマ「私の家政夫ナギサさん」を取り上げ、「家政夫ドラマ 二兎つかむ」というコンセプトで面白い記事を書いていました。
記事の要点をかいつまんでご紹介すると、次の通りです。
- TBS「半沢直樹」の爆発的な人気の陰に隠れているが、ナギサさんの方が時代の特徴を備え、マーケティングのヒントが盛り込まれている。
- ナギサさんは、女性が得意と思われがちな家事を男性にアウトソーシングする設定にしたが、女性が働くのが当たり前になっている今、共感を得られるよう「あるある」話を盛り込むようにした。
- しかし、高視聴率の理由は働く女性だけでなく、専業主婦など伝統的な「お母さん」を再評価した点にある。
- 多様な女性の生き方を認める結果、働く女性と主婦の2つのコア客をつかんだ。
同記事は、ナギサさんを「客層をダブルコアにする手法」と総括しています。
実はこれが、我々にとっては重要ポイントです。
客層をダブルコアにする
企業体質の向上を図るため、新規顧客を開拓し営業を強化することは重要な戦略です。
問題はその際に、新規顧客の開拓へ注力するあまり、既存顧客のフォローがおろそかになっていないかということです。
多くの中小企業には技術力、製品・サービス力はありますが、自力で営業や市場開拓ということになると、そのための人材もノウハウも乏しいということになりがちです。
しかし、そのために既存顧客のフォローがおろそかになり、確実な売上機会をリスクにさらすことは本末転倒です。
新規顧客開拓が実を結び、既存売上の落ち込みをカバーできるようになるには、相当な時間が掛かる恐れがあるからです。
実例として、中小企業ではありませんが、衣料品販売の「しまむら」があります。
同社は以前、若年層の売上を伸ばそうとするあまり、店のコンセプトが変わってしまいました。
そのため、それまでコアであった中高年層の支持を大幅に低下させることになってしまい、それが業績へ影響を及ぼしました。
そこで注目されるのが、先ほどの「客層をダブルコアにする手法」です。
冒頭で取り上げた日経記事は、同手法が小売業にも広がっており、その代表例としてワークマンを取り上げて「おしゃれで丈夫、そして割安さによって作業員と一般の消費者というダブルコアで成功を収めた」と指摘しています。
また松屋も取り上げ、「新しい衣料品コンセプト「テレビズ」は、テレワークでも会社でも通用するダブルの効用で支持を集めた」と指摘しています。
コツは、マーケティング結果の検証
もちろん最初から狙って、このようにうまくいくことは、そうそうないでしょう。
二兎を追いかけて、かえってターゲットがぼやけてしまい、失敗するリスクさえあります。
しかし、コツがないわけではありません。それはマーケティング結果の検証です。
改めて言うまでもなく、マーケティングは顧客候補を分類・区分(セグメンテーション)し、その中から対象顧客を選定(ターゲッティング)して、競合との違いを打ち出す(ポジショニング)という一連の活動です。
これをやる、やらないで、営業成果は随分と異なってくるでしょう。
とは言え、所詮は売主側の勝手な思惑でしかありません。
そこで、思惑通りに売れているのか確認をしなければなりません。
このとき、当初の目論見とは違った顧客や使い方(用途)が現れてくることは、十分にあり得ます。
これこそがダブルコア客の端緒です。
入念な確認の末に、幸運にもこの端緒に気づいたら、それを参考にしてセグメンテーションをやり直し、新たな対象顧客を浮かび上がらせます。
そして既存顧客に加えて、この新規顧客も営業対象としていくのです。
つまり、マーケティングにおけるPDCAサイクルを回すということです。
こうすれば既存顧客とは無縁のところで、既存顧客をないがしろにして、新規顧客を開拓するようなことはなくなります。
ダブルコアとPDCAサイクルをヒントに、売上を是非とも拡大ください。
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