多くの中小企業はどんな業績か

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皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。
多くの中小企業はみな、どんな業績を上げてきているか気になりませんか。本稿では、これまでは過半が黒字企業である実態と、企業規模が中小企業の生き残りと社長の幸福な引退へどう関わるかをご紹介します。ぜひお読みください。

多くの中小企業はどんな業績か

増値力とは私の造語ですが、企業価値を増す力、という意味で使っています。社長が幸福な引退をするには、引退までに業績や財務体質を良くしておきましょうと言いたいわけです。

いや、一般論としてはなるほどなぁと理解できるけど、良くするってどのぐらいを指しているの? まさか、大企業並みにというわけじゃないでしょ! そんな声が聞こえてきそうですね(笑)

そこで今回は、そもそも多くの中小企業って、どんな業績をしているんだろう、ということをご紹介したいと思います。数値は2019年版の中小企業白書を引用しています(数値の集計と白書発行の間にはタイムラグがあるため、企業データは実際には2016年度の数値です)。

売上高

先ずは売上高です。

  • 平均値は4億8千1百万円。
  • 売上高が10億円超は全体の9%弱。

売上高10億円超の企業が1割近くもあるんです。どうでしょう? 意外に大きいという感想でしょうか。
ところが、です。次の数値を見てください。

  • 売上高1億円以下は全体の50%強。
  • 構成比として一番多いのは3~4千万円。
  • 売上高の中央値は9千9百万円。

実は中小企業の半分は売上高が1億円も無いんです。中小企業全体ではほんの一握りの企業が平均値を引き上げている、という構図なんです。大企業と中小企業を比較したときと同じ構図が、中小企業の中でも再現されているんですね!

利益

それでは利益はどうなっているでしょう? 本業で稼ぐ利益を意味する営業利益を見てみます。

  • 平均値は1千4百万円。
  • 営業利益が7千万円超は全体の4%強。

売上高の平均値4億8千1百万円に対し、営業利益の平均値1千4百万円は約3%になります。7千万円を超える企業も全体の4%強にすぎませんから、なかなか利益性は厳しいという感じがしませんか。
それでは、多くの中小企業の数値はどれほどでしょうか。次の数値となります。

  • 営業利益の中央値は1百万円。
  • 営業利益が▲4百万円超から4百万円以下の中小企業が全体の52%強。

中央値がようやく黒字の1百万円ですから、赤字企業もかなり存在しています。残念ながら2%近い中小企業は営業利益が▲3千万円を超えているんです。
ただ、このように紹介すると大半の中小企業は赤字企業のように見えてしまうかもしれませんね。しかし、決してそんなことはありません。

過半は黒字企業

確かに利益水準は厳しいけれど、黒字か赤字かということで見れば、多くの中小企業が営業利益の中央値1百万円近辺に集中している構図となっています。黒字企業の方がずっと多いのです。
次の数値を見てください。営業利益の黒字・赤字企業の割合の推移です。ちなみに2008年にリーマンショックが発生しています。

  • 2009年
    黒字50.2%  赤字49.8%
  • 2010年
    黒字53.4%  赤字46.6%
  • 2011年
    黒字57.1%  赤字42.9%
  • 2012年
    黒字60.7%  赤字39.3%
  • 2013年
    黒字62.2%  赤字37.8%
  • 2014年
    黒字64.3%  赤字35.7%
  • 2015年
    黒字63.9%  赤字36.1%
  • 2016年
    黒字64.7%  赤字35.3%

リーマンショックが発生した翌年はさすがに赤字企業がほぼ半分の水準に陥ったものの、その後は景気回復を背景に着実に黒字企業が増えていることが分かります。
残念ながらこのたびのコロナ禍で、再び厳しい局面にさらされることは避けられません。しかしリーマンショックのときも半数は黒字だったわけです。日本の中小企業の底力は侮れないと思います。ただ、総じて売上規模が小さい。

経済学や経営学では「規模の経済」というスケールメリットを表す専門用語が使われますが、売上規模の大小は利益の大小に影響してしまいます。売上規模の小ささが利益規模の小ささをもたらし、それにより何か異変が起こると直ぐに赤字になりやすく、ひいては社長の幸福な引退を左右してしまう。そのように私は考えています。

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