皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。
中小企業が生き残りを図り、社長の幸福な引退に向けたストーリーをつくる上で、企業価値を増す「増値力」が必要となってきます。本稿では、増値力とは何か。なぜ必要かを説明しています。ぜひお読みください。
休廃業する企業は総じて業績が悪い
私は、企業価値を増すという意味で「増値」という言葉を使って、社長の幸福な引退には増値力が必要であると訴えています。そんなことは当たり前だろう、と多くの皆さんは思われるかもしれません。しかし、以下のデータをご覧ください。
2020年中小企業白書によると、2019年に休廃業・解散した企業の件数は4万3348件です。そのうち38.6%は当期純利益が赤字でした。
また休廃業ないし解散した企業の純利益の推移をみると、次のとおりでした。
- 2010年、2013年に休廃業・解散した企業は、減益を続けた後に事業を停止している。
- 2016年に休廃業・解散した企業は、中小企業全体の純利益が2011年以降増加傾向にある中、横ばい傾向の純利益で推移した後に事業を停止している。
会社の継続を断念した背景として約4割は業績が悪く、しかもそれは一過性でなく何年か続いていることが読み取れます。
さらに廃業した経営者が事業を継続しなかった理由として、2019年中小企業白書にはこんなデータもあります(複数回答のため合計は100%にはなりません)。
- もともと自分の代でたたむつもりだった
:58.5% - 事業の将来性が見通せなかった
:41.6% - 資質がある後継者候補がいなかった
:19.8% - 事業に引き継ぐ価値があると思えなかった
:19.6% - 事業の足下の収益力が低かった
:19.4% - 借入金が大きかった
: 5.6%
社長の幸福な引退には増値力が必要
2019年白書のデータによると、もともと会社を続ける気が無かったのが約6割。ということは何らかの事情で継続を断念したのが約4割ということになります。その事情は何でしょう。
もちろん後継者が見つからなかったことがあるでしょう。しかし2020年白書のデータから、業績や財務にまつわる事情も大きかったと読み取れないでしょうか。
もし業績や財務が早期に改善できていれば、社長業から退くことに変わりはないとしても、現実とは少々異なる結果になった可能性もかなりあると思われます。社長が幸福に引退するには、それまでに業績や財務体質を変えておくことが重要だと訴える意義を、皆さんも感じていただけるのではないでしょうか。
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