皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。
社長業を幸福に引退する一方で、新たな生甲斐を見い出して生涯現役を貫きたい社長は、財務を改善し知的資産経営を導入して、事業承継など社長業引退への備えを早い段階から進めるべきです。
ここにいう知的資産経営とは、各社が必ず持っている知恵や工夫を、顕在化させて資産と呼べるほどに整え、あるいは磨きをかけて、その活用により収益力を強化していく経営ですが、決して中小企業と無縁なものではありません。
ところで、知的資産の磨き上げと言える業務の見直しや改善に中小企業が取り組む際、一体何が障害になっているでしょうか。
何が障害になっているかを取り上げた前編を簡単に振り返り、今回は後編として、時間や人を割けない原因を取り上げています。
お時間を作って、ぜひお読みください。
前編の振り返り
2018年版中小企業白書によると、中小企業が業務を改善するきっかけの約50%は人手不足への対応です。
そして業務の見直し・改善をすすめる上で障害になっていることは、そのための時間が取れないことが50%強、次いで、取り組みを主導できる人材が社内にいないことが挙げられています。
取り組みを主導できる人材がいないという理由は、ノウハウを持つ人材がいないというよりも、業務の見直し・改善に人を割けないという意味と理解するのが自然でしょう。
時間も人材も経営資源です。
そうすると要は、経営資源が不足しがちなため現行業務の遂行に資源を手当することで精一杯で、業務の見直し・改善にまで資源を割けない、という事情が障害(課題)になっていると言うことができるのです。
なぜ業務の見直し・改善に経営資源を割けないか
中小企業は一般に、人手が足りません。
それでも何とか業務が回るように対応したいと考えるのは当然のことです。しかし、人手が足りないから、その対応ができない……。
一体、この負の連鎖をどうやって断ち切れば良いのでしょうか。
そもそも中小企業には無理なことなのでしょうか。でも、ちょっと待ってほしい。それではジリ貧ですよね。
ここで、とても重大な発想の転換が求められています。
業務の見直し・改善が必要と言いながら、そこへ経営資源が割けないのは、実は社長が業務の見直し・改善よりも、現行のやり方を優先しているからなのです。
現行のやり方では厳しいと分かっていながら、しかし、慣れ親しんだそのやり方が捨てられない。
捨てる勇気がないのです。
だから、業務の見直し・改善に経営資源を振り向けられないわけです。
業務の見直し・改善の一番大きな障害、実はそれは社長にあったわけです。
知の巨人ドラッカーが唱えた「計画的廃棄」
経営者なら誰しも、経営学の泰斗 P.F.ドラッカーはご存じでしょう。
このドラッカーも、次のように言っています(「経営者の条件」(ダイヤモンド社)より引用)。
「成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である」
「集中のための第一の原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである」
「自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直し、『まだ行っていなかったとして、いまこれに手をつけるか』を問うことである」
「古いものの計画的な廃棄こそ、新しいものを強力に進める唯一の方法である」
「優先順位の決定について最も重要なことは分析ではなく勇気である」
業務の見直し・改善ができるか否か、これは社長の覚悟次第です。
社長には改革の覚悟が求められているのです。
覚悟ができれば、現行のやり方を優先することを止め、捨てる勇気が自然と生まれます。
どの会社の社長も、いつも本当に大変だと思います。
しかし会社には多くの利害関係者がいます。皆の幸せのために、どの社長にも頑張って頂きたいのです。
そしてそのためには、現行のやり方では問題があるなら、
厳しいやり繰りの中から計画的に時間、人という経営資源を捻出し、業務の見直し・改善に振り向けていく必要があるのです。
現在を計画的に廃棄し、資源を未来に振り向ける。これは社長にしかできない仕事です。
社長、あなたはご自身しかできない仕事をなさっていますか。
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