エステサロンの知的な経営

エステサロンの風景

皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。

社長業を幸福に引退する一方で、新たな生甲斐を見い出して、第二の人生を充実させることで生涯現役を全うしたい社長は、知的資産経営を導入し、事業承継などへの備えを早い段階から進めるべきですが、

知的資産経営とは、具体的にどんなことをしていけば良いのでしょうか。

私が初めて、知的資産経営というものを理解できた、あるエステサロンの事例をご紹介します。
具体的にイメージする参考になれば幸いです。お時間を作って、ぜひお読みください。

関西のエステサロン、全国展開に挑む

私が知的資産経営というものを具体的に理解できたのは、
大先輩の先生がサポートされ、ある関西のエステサロンが全国展開を実現した事例を知ったことがきっかけです。

当時、若き女性モデルだったAさんは、あるエステの技術を習得し、関西に個人でお店を開きました。

このときAさんが持っていた事業上の武器は
まずエステの技術。
基礎となっている技術は他人から学んだものですが、Aさん独自の要素も入った技術へと練られたものです。

そして前職のお仕事を通して築いた人脈。
幸いなことに、Aさんの頑張りが功を奏し、お店は繁盛。

もっとも、Aさんはただ、がむしゃらに頑張ったというわけではありません。

お客さまとのやり取りを通じて得た知見から接客方法を磨き、
Aさんならではの、接客スキルを構築した結果でもあるのです。

Aさんはモデル時代に、他人から自分がどう見られているかを意識し、創意工夫をしてきたはず。
おそらく、この特殊な経験がAさん独自の接客スキルの根底に横たわり、強みとなったのでしょう。

おかげで、Aさんは2店舗目を開くことができます。
このとき、2店舗目はスタッフを店長に登用し、任せています。

Aさんは、1店舗目で採用したスタッフに対する教育を惜しみませんでした。
また、スタッフとの信頼関係構築にも努めました。

こうして人材を育成したことにより、
技術を習得し、かつ信頼のおける店長という武器も手に入れていたのでした。

2店舗目も開店できた。
これだけでもAさんは凄いと、私などは感心してしまいます。

ただ、Aさんは、根っからの事業家だったのですね。関西はもちろん、さらに全国展開を夢見ていました。

しかし、資金も人材も足りません。中小企業は常に経営資源の不足に悩みます。
ましてやAさんは、まだ個人事業が少し大きくなった規模。

経営資源の乏しい中で、さらに事業を大きくしていくにはどうすれば良いか。
ここで、知的資産経営に明るい大先輩の先生が登場です。

経営資源としての知的資産

大先輩の先生はAさんから相談を受け、
フランチャイズ方式という事業展開方法をアドバイスしました。
そして、そのために必要な体制整備をサポートしたわけです。

どういうことかと言うと、

経営資源は通常、ヒト、モノ、カネと言いがちですが、
もう一つ忘れてはならないものに「情報」があります。

Aさんには、資金も人材も不足していましたが、他の誰にもない優れた事業上の武器として、創意工夫によって形成された技術やノウハウという情報がありました。

多くの中小企業経営者は、自分たちがどんな創意工夫を行い、その結果どんな技術やノウハウを持っているかは当然知っていますが、
それがどれほどの価値を持っているかは、案外分かっていないところがあります。

それは創意工夫、技術やノウハウが目に見える形になっておらず、
また社外に堂々と主張できるように権利として整備されておらず、
従って社内外からの不当なアクセスや侵害から、創意工夫、技術やノウハウを守る体制もできていないため、
それらが持つ「知的資産」という価値に気付きにくいのではないかと思われます。

幸いなことにAさんは、専門家のアドバイスにより、この価値に気付くことができたわけです。

エステサロンの知的資産経営

そこでAさんは、専門家のサポートを受け、
自らが持つ創意工夫、技術やノウハウを知的資産という名にふさわしい形態に仕上げていきました。

まず、Aさん独自の要素も入ったエステ技術。
Aさんならではの、接客スキル。
これらをマニュアルとして体系的にとりまとめました。

組織として大きくなるため、組織としての規律を社内規定として整備しました。
この中には、マニュアルとしてまとめられた創意工夫、技術やノウハウを不正競争防止法という法律で保護できるように、秘密管理のルールも入っています。

また、Aさんのエステサロンが提供するサービスをキャッチコピーやロゴマークで象形化し、商標登録も行っています。

さらに、フランチャイズ契約書も整備しました。

このように、マニュアルや規定、キャッチコピーやロゴマークで創意工夫等を見える形にして、
これらを商標登録や契約書で、権利として社外へ主張できるように整え、強化し、
社内規定や管理のルールを設け、万一、権利が侵害されるときも、法的に保護される体制をつくったのです。

ちなみに、こうした体制を整えた上に、しっかりした事業計画書もつくれば、
金融機関も返済が十分に見込める企業と評価し、事業資金を積極的に融資してくれます。

こうした準備を経て、Aさんのエステサロンはフランチャイズ方式をうまく活用して、全国展開に乗り出しました。

事業者はみな、固有の創意工夫、技術やノウハウを持っています。
それを知的資産として認識し、有効に組み合わせつつ、活用していくことで
収益をあげていくのが知的資産経営という手法です。

いずれは幸福に引退したいと願う社長はもちろんですが、
まだまだ現役バリバリの中堅若手経営者にとっても、さらなる飛躍のための発射台づくりに最適です。

ぜひ知的資産経営に取り組まれるよう、オススメします!

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