皆さん、こんにちは!
社長リタイアサポーターの松田浩一です。
社長業を幸福に引退する一方で、新たな生甲斐を見い出して、第二の人生を充実させることで生涯現役を全うしたい社長は、
知的資産経営を導入して、財務体質の改善も図りながら、事業承継など社長業引退への備えを早い段階から進めるべきですが、
事業承継の現実の場面では、しばしぼ女性が突然に社長を引き継ぐことがあります。
図らずも事業承継した女性は、社長としてどんな立場に立たされているのでしょうか。
最近実施された調査がありますので、その結果の一部をご紹介します。
お時間を作って、ぜひお読みください。
女性経営者206人に対する調査
9月に発表されたエヌエヌ生命保険の、全国の中小企業の女性経営者206人に対する意識調査によると、事業承継した女性のリアルが次のように浮かび上がってきます。
- 社長になったきっかけ
「起業」 64.1%
「事業承継」35.9% - 事業承継した女性社長について、誰から承継したか
「親」 50.0%
「配偶者」25.7%
「親、配偶者以外の親族」6.8%
「親族以外」17.6% - 事業承継した女性社長について、自身が社長に就任することを以前から想定していたか
「いなかった」56.8%
「していた」 43.2% - 事業承継に当たり、事前の準備期間はどの程度あったか
「(ほとんど)なかった」44.6%
「数カ月」21.6%
「数年以上」17.6%
「1年ほど」16.2% - 起業、事業承継を問わず、女性社長が男性社長と比べて、業務上不利に感じることがあるか
「はい」 36.9%
「いいえ」63.1% - 業務上不利に感じると回答した女性社長について、どんな点を不利に感じるか
「顧客との関係構築」57.9%
「仕入先との関係構築」36.8%
「金融機関との関係構築」34.2%
「社員との関係構築」19.7%
「その他」6.6% - 起業、事業承継を問わず、女性だからこそスムーズに進んだと感じることは何か
「顧客との関係構築」39.3%
「社員との関係構築」24.3%
「仕入先との関係構築」15.0%
「商品の企画・開発」12.6%
「新規事業の立ち上げ」7.8%
「金融機関との関係構築」6.8%
「既存事業の拡張・方針転換」5.3%
「スムーズに進んだと感じたことはない」38.8%
「その他」1.9%調査から推測される準備不足の悪影響
上記の調査からは、事業承継した女性社長の半数は、親以外から引き継いでいます。
この場合、自身が後継者であることがある程度予定(予想)されるとは想定しづらいことから、
事業承継した女性社長の56.8%が社長就任を以前から想定していなかったと回答し、
44.6%が事前の準備期間は(ほとんど)なかったと回答したことは、腑に落ちるところです。ここから、社長就任にあたっての準備不足という事情が少なからず存在することがうかがえます。
起業か事業承継かを問わず、36.9%の女性社長が男性社長と比べて、業務上不利に感じることがあると回答していますが、
私は、この理由の一つに準備不足の事業承継で社長就任した事情があるのではないか、と思うのです。自ら起業された女性社長は、女性ならではの持ち味が生かせる、
あるいはご自身の知見や強みが活かせるフィールドを選択して起業をされていることでしょう。それゆえ女性社長全体のうち、起業で社長になった方が64.1%で、
男性社長と比べて業務上不利に感じることはないと回答した方が63.1%という結果には、整合性があると思われます。これに対し第三者承継を除く、大半の事業承継した女性社長は、自らその事業を選んだわけではありません。
女性ならではの持ち味が生かせる事業だった、
あるいは事業に活かせる知見や強みをたまたま持っていた、という幸運はそうそうあるものではないでしょう。だから本来は、社長として振舞えるための腕を磨き、
そうして存在感を認知してもらうための準備期間がいるのです。
しかし現実には、事業承継した女性社長の約半数は明らかに準備不足と思われます。こうした事情が、
女性社長全体の36.9%が女性であることを業務上不利に感じる一因になっているのではないでしょうか。不利に感じる事情を克服するには
それでは、準備不足のまま就任せざるを得なかった女性社長は、どのような対応をしていけば良いのでしょうか。
女性であることが業務上不利に働いたこと、
反対に女性だからこそスムーズに進んだこと、それぞれの上位に共通するものとして、特に「顧客との関係構築」「仕入先との関係構築」が挙げられます。
一見すると、人間関係の構築をめぐる属人的要素が左右しているように見えるかもしれませんが、
関係構築をめぐるノウハウがあり、
その獲得にたどり着いたか否かが大きいという側面もあるのではないでしょうか。事業承継した女性社長の場合、
先代が如何にして関係構築を果たしたか、その足跡を辿ることは大きなヒントになります。先代が鬼籍に入っておられる場合、それは簡単ではないでしょう。
しかし、その努力は自社特有のノウハウ、言い換えると知的資産の再認識につながります。
そして、そこからビジネスの新たな展開につながることも十分あり得るのではないでしょうか。それこそが、正に知的資産経営なのです。
業務上不利に感じる事情を克服されることを祈っています。
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